<Naming−sense ZERO?>
ん〜!今日もいい天気ですね。休日で授業はないし、何しようかな?…って言っても、
私がいつもすることって決まってるんですよね…さ、早く行こうっと。
あれ?今日は図書館は使えないんでしょうか?『閉館』って札が入り口にかかってます。
おかしいなぁ…この前のミーティングではそんな話なかったし、今朝もそんなアナウンス
はなかったような…でも、私は別に入っても構わないですよね。この前大量に返却された
本の整理しなくちゃ。雷神さんったら、延滞しすぎなんだから…ププルンシリーズは人気が
高いから、貸出期間は1週間って、ちゃんと書いてあるのに!借りたい人が沢山で、予約者
までいるっていうのに。「忘れてたもんよ〜」じゃ困るんだもんよ!…あ。ヤダ、私ったら。
はぁ…このカウンターも整理しなきゃ。延滞者リストがこんなに…えーっと、1番長いのは…
返却期限を3ヶ月も過ぎてる!『熱帯地方の蝶・大全集』?借りてるのは…雷神さんか…。
もうブラックリストに載せるしかないですね。風紀委員のサイファーさんか風神さんに頼んで
注意してもらおうかな…でも、あの2人は怖くて話しかけづらいなぁ…
あ、そうそう、実は私、イメージチェンジしたんです。髪の毛も今日はおろしてみちゃったり☆
しかも、ついに!思い切って買っちゃった憧れのコンタクトレンズ!休日デビューです☆
でも、まだ慣れてなくて目がゴロゴロ痛いんですよね。…!?あぁっ!ホコリが目に入った!
い、痛い…あっ!ついつい、いつものくせで目こすっちゃった!
……あれ?視界がボヤけてよく見えない…もしかして…落とし…ちゃった…?
どっ、どうしよう!買ったばかりなのに!こうなったら探すしかないですね。スカートだけど…
誰も見てないし。うぅっ…ヒザが痛くて冷たいです…。
「うーっす!…あれ?まだ誰も来てねぇのか?しょうがねぇなぁ…」
だ、誰か来た!見つかったらどうしよう!でも今日は閉館のはずじゃ…
「おはよう。…あら?まだゼルしか来てないの?」
「おっす、キスティス!他のヤツはまだみたいだぜ。」
ゼルさん!?しかもキスティス先生まで!?でも、他のヤツってことは…
「…」
「おハロー!」
「あら、スコールとリノア。仲良く2人で登場ね。」
「おい、リノア。朝なんだから『おハロー』じゃねぇだろ〜?」
「いいの〜!」
スコールさんが来たって事は何か会議でもあるのかなぁ…
私、やっぱりここにいたらまずいんじゃ…
「まみむめも〜!」
「ハァーイ、今日もいい天気だね〜」
「…セルフィ、遅いぞ。集合は11:00のはずじゃないのか?」
「そうだぜ!お前、言い出しっぺのくせに遅刻すんなよ!」
「まぁまぁ、みんな、セフィを責めないでよ〜」
あぁっ…アーヴァインさんとセルフィさんまで!やっぱり何かあるんだ…
閉館って書いてあったのにはちゃんとワケがあったんだわ…
「みんな、ゴメン!日記の更新しとったら11時になってて…」
「…セルフィは仕方ないとして、何でアーヴァインまで遅れて来るんだ?」
「僕は可愛いセフィがナンパ男に声をかけられないように迎えに行ったんだよ〜」
「(…それって、お前じゃないのか?)」
「ウソつけ!お前、オレが5分前に寮を出るとき、洗面所でジャージ着たままドライヤー
ブンブンいわせて髪の毛セットしてたじゃねーか!」
「アービンがアタシを迎えに来た時は11時過ぎとったで。」
「うっ…せ、セフィ〜!」
「あー、アーヴァイン、ウソついてる〜」
「隠しても仕方ないんだから、正直に言ったら?」
「だってさ〜、昨日髪の毛乾かさずに寝たら、朝起きたら寝ぐせがすごくてさ、
一紳士として、このままじゃガーデン歩けないだろ〜?」
「最初からそういえばいいのに。」
「…もういい。で、セルフィ、話ってなんだ?」
「セルフィが言い出すなんて、どうせロクな話じゃないんだろ?」
「失礼な〜!」
「ゼル!そんな言い方はないよ!セルフィかわいそうだよ!」
「まぁ、ええわ。じゃ、さっそく本題や!座って座って!」
どうしよう…こんなにたくさん人が来ちゃったら出るに出られなくなっちゃった…
とりあえず皆が帰るまでこのままじっとしとかなきゃ…って、そんなことより
コンタクト、コンタクト…足で踏んで割っちゃったらどうしようっ!
でも、何話してるのかちょっと気になる・・・
「今日の議題は、ゼルの彼女についてやねん!ゼル、あの子の名前知らないんやて!
なんであんだけ一緒におって、名前も知らんの!?おかしいやろ?」
…えっ!?わ、私!?何でみんなが私のことを?私、何も悪いことしてないですよ!
何だろう?悪口とか言われたらどうしよう…
「そんな事言ったって…」
「えぇ〜!?名前も知らないで付き合ってるの〜!?」
「本末転倒だわね…」
「じゃぁ、ゼルは普段、何て呼んでるんだい〜?」
「話しかける時はいつも『なぁ。』とか…」
「なぁなぁ、普段はみんな、何て呼んどる?」
「僕は『あのさぁ〜』って」B
「(俺はほとんど話しかけないけど…)『おい』か、『あんた』だな」
「わたしはいつも『ねぇねぇ』って」
「もしかして、誰も彼女の名前を知らないんじゃない?」
「何だよ!誰もマトモな呼び方してねぇじゃねーか!」
「アタシはちゃんと呼んどる!」
「じゃぁ何て呼んでるんだよ?」
「『みっちゃん』や!」
「みっちゃん…?」
「そう!いっつも三つ編みしとるから『みっちゃん』!なかなかやろ?」
そういえば私、一度もゼルさんに名前呼ばれた事ないなぁ。SeeDの皆さんにも…
セルフィさんにいきなり声かけられて、最初は自分の事だって、気づかなかったし。
そのうち慣れて何ともなくなっちゃったけど…本名じゃないんですよね…
はぁ…ヒザが痛い…コンタクトないよぉ…何処に行っちゃったんだろう…
「なるほど…本名が分からない以上、何かそれに代わる名前…アダ名を
みんなで考えようってことか…。」
「ピンポーーンっ!どうせならカワイイ名前がええやろ?」
「じゃ、宝石の名前っていうのはどうかしら?」
「そのテーマもらい〜っ!はい、じゃ、アービンから時計回り!」
「『エメラルド』かな〜?」
「なかなかええけど、でも、あの子のイメージとはちょっと違うかな〜」
「じゃ、セフィはどんなの思いついたのさ〜」
「『ルビー』!」
「それもちょっとイメージ違うんじゃねーか…?」
「ゼルに言われたくない〜!」
「ルビーと言えば、有名な盗賊団の一員の名前ね。」
「ルビーって赤くて何か情熱的なイメージがする。あの子はもっと静かで
おとなしい感じだよね、キスティス」
「そうね…私は『サファイア』って思ったけど、あの子のイメージには合わないわね。」
「イマイチやな〜。次は…あ、ゼルはどうせマトモな事言わんからパス!次、リノア!」
「へっ…どうせオレはシルバーとゴールドくらいしか知らねぇよ!」
「ゼル〜、シルバーもゴールドも宝石じゃないよ〜」
「うるせぇ!ほら、リノアの番だぜ!」
「前に読んだ本に出てきた名前なんだけど…『ガーネット』ってどうかな?」
「あ、それって歴史の授業で習ったよね〜」
「そうね、スコール、覚えてる?」
「…アレキサンドリアの王女の名前だろ?」
「正解!彼女はその後結婚して女王になったのよ」
「王様が尻軽で大変だったんだよな?」
「でも、女王への愛は最後まで貫き通したんだよね〜」
「あー、もう、ストップストップ〜!みんな、本題からズレとるで!歴史の話はそこまで!
はい、最後いいんちょ!なんかこだわったの考えてや」
「(宝石の名前…そうだな…誕生石で考えるか…リノアの誕生石…3月は何だっけ?
『アクアマリン』か…きっとまた笑われるな。俺の誕生石は…8月…『サードニックス』
…『ペリドット』…ますます可笑しいな)」
「スコール、眉間にシワよってるよ」
「あんまり考えすぎない方がいいんじゃない〜?」
「……『アレキサンドライト』」
「それ、人の名前とかけ離れとるやん!真面目に考える気ないやろ?」
宝石の名前なんてロマンチックだな〜…って、何もそんなこと話し合わなくても
私が本名言えば話は早いんですよね。でも、恥ずかしくて言えないよぉ…
「じゃあさ、セルフィ。花の名前なんかどうかな?」
「よっしゃ、リノア、それや!じゃ、アービン!」
「『ローズ』かな〜」
「まさしくアーヴァインが考えましたってかんじだね」
「ちょっとリノア〜、それどういう意味だよ〜?」
「次はアタシやな。やっぱ元気なイメージやろ?『ひまわり』!」
「それじゃ、セルフィそのものじゃねぇか。しかも人の名前に合わねーよ!」
「うるさい〜!はい、キスティス!」
「そうね…『アオイ』なんてどうかしら?肝心のゼルはどう?」
「花の名前なんて分かんねーよ…あ、分かった!『カリフラワー』!」
「ねぇ…ゼル…それ、野菜だよ…」
ゼ、ゼルさん…
「ゼル!マジメに考える気、全っ然ないやろ!?」
「だって、フラワーってつくからとっさに思いついたの言ったんじゃねーか!」
「はいはい、じゃー気を取り直してリノアいってみよ〜!」
「うーん…『サクラ』っての、どうかな?」
「なかなかええやん!でもちょっとストレート過ぎかな…でも、それ候補!
じゃあ最後、いいんちょ!さっきみたいにボケかまさんと、ちゃんと答えてや!」
「(ボケ?俺は大真面目だったんだ…。花の名前なんて…『リリー』…平凡だな。
『パンジー』…人の名前じゃないな。『チューリップ』…これじゃもっと変だ」
「スコール?」
「……『ラフレシア』。」
「ラフレシアって、デカくて、すっごい臭い花だろ〜?」
「そんなクサクサでカユカユな名前付けられて喜ぶ女子がどこにおんねん!」
「(何だよ…こだわったの言えっていったのはセルフィだろ?)」
スコールさんって、けっこう博識なんですよね。図書館で本読んでるのなんて、普段
見たことないのに…どこで知識を手に入れてるんでしょうか?尊敬しちゃいます!
でも、だからってラフレシアはちょっと…
「もう全然アカンわ〜!やめやめ!解散!」
「あ、待ってよ、セフィ〜!」
…セルフィさん、怒って出てっちゃったみたいですね。アーヴァインさんが慌てて
後を追ってったみたいですけど。私なんかのためにみんなを集めてくれたのに…
なんかセルフィさんに悪いなぁ…
「あ、スコール!もうすぐ11時半だよ!ちょっと早いけどお昼ゴハン食べに行こう!」
「全く…何なんだよ…」
「ほらほら、そんなに怒らない」
スコールさんとリノアさんも行っちゃいましたね。あの2人って、いつ見てもうらやましい。
お互いを分かり合ってるっていうか…いいなぁ〜vvv
「さ、今度の発表会までに論文完成させないと。ゼル、お先に失礼するわね。」
キスティス先生も、色々大変なんですね。確か、モンスターから技を入手できる特異体質を
持つ人間についての論文でしたよね。自らの身体を張って研究するなんて、なかなか
出来ないですよ、普通は!…あ、あった!床に落ちたと思ったら、服にくっついてた!
良かった〜、買ったばかりなのに、無くしたらどうしようかと思っちゃった。
わぁ〜、痛いと思ったら、やっぱりヒザに型が付いて青くなってる!
「はぁー、別にいいじゃねーか、人の名前なんてよぉ…。喋ってて楽しかったり、一緒に
いて落ち着けりゃそれでいいんだよ!お前らに余計な心配されるようなことじゃ
ねぇっつーの!ったく…あー、くっそ!オレもメシ行こっ!」
ゼ、ゼルさん!普段は言葉遣いとか悪くてちょっとそっけなかったりするけど、根は
やっぱり優しい人なんですね。私、とってもうれしいです!思わず涙出てきちゃった…
あっ、どうしよう!鼻水まで!
…ずずっ…
「誰か、そこにいるのか!?」
ど、どうしよう!今まで隠れてたこと、ゼルさんに見つかったら怒られちゃう…
スコールさん達にまで話を聞いてたことが知れたら…でも、正直に謝らなくちゃ。
よいしょ…あ、足がしびれてピリピリする…
「あの、隠れて盗み聞きするつもりはなかったんです!図書館が閉館になってたんですけど
色々整理したりしなきゃと思って…」
「そっか。まぁ、大した話題じゃねぇからいいんだけど。別にSeeDの極秘会議でもないし。
…なぁ!もしかして、そこにあるのって、ププルンシリーズの最新作か?」
「あ、はい、そうですけど…(大した話題じゃないって…そんな…)」
「やーっとあったぜ!ったく、誰かが延滞してて、オレ2ヶ月も待たされたんだ!
…なぁなぁ、今日のこと誰にも言わねぇからさ、今日閉館だけど、これ借りさせてくれ!」
「ど、どうぞ!…あの、でも返却日は守って下さいね!1週間後ですから」
「まかせとけって!サンキュ〜!じゃぁな☆」
行っちゃった…でも、今日は朝から話せたし、いい1日になりそう☆
でも、私の前で大したことじゃないだなんて…議題って、私の名前だったはずなのに。
あ、ゼルさんなりの気遣いですね!やっぱり優しいな、ゼルさんって。
さーって、私もお昼御飯食べに行こうっと!今から行ったらゼルさんに会えるかも…
その前に洗面所でコンタクト入れ直さなくちゃ。本の整理はまた今度にしようっと!
「うっわ、もう11時50分じゃねーか!早く並ばないとオレのパンが売り切れちまう!
…あれ?でも、あんな女子、バラムガーデンにいたっけかな?どっかで見たことあるような
顔なんだけどなぁ…オレの気のせいかな?あ、きっと新しく来た転校生だな!ま、いっか!
最新ププルンも手に入ったし、よっしゃ、気合い入れて食堂までダッシュ!」
−おわり−
<あとがき>
ずっと昔に書いたものに、若干の修正及び加筆をした作品です。
ジャンルは…ラブコメ?(笑)判断は読者サマにお任せするということで。
読んだら分かるとは思うのですが、視点はあの三つ編みの図書委員です。
本編の脇役としてはランクの高い位置にいたにも関わらず、名前がない!
というわけで、それを逆手にとってネタにしてみようという試みでした。
こじつけっぽい気もするのですが、気にしないで下さい…
作品の形式としては、情景描写を入れず、マンガみたいにセリフを主に
しています。元々、情景描写は苦手だし、その方が臨場感が出るかなぁと。
(果たして、これを小説と呼べるのだろうか・・・汗)
「」の前に名前を入れなくても誰のセリフか分かるように、できるだけ
キャラの口調を忠実に再現するよう頑張ってみました(笑)
ショボイ作品ではありますが、サイト開設3周年のお祝いということで
…如何なもんでございましょう、Kallアニキ!
Kallの感想
おおお!三つ編み図書委員の女の子作品!アニキもその昔、『EDのビデオにも写るほどのポジションなのに小説では
あんまり見ないからな〜』と一本書きましたが、こうして投稿作品として頂けるとは!K2さんに大感謝っす^^
しかも、笑いどころ満載のラブコメ〜≧▽≦♪最初に受け取って読んだときに何度か読んで爆笑、今回HPにUPするために
編集しながら読んでいてまたまた爆笑、特にスコールの天然でもなく笑いを狙ってもいない回答センスには、関西圏(といっても
本州ではないですが・苦笑)在住でお笑いにちょっとうるさいアニキも脱帽です。どう悩んだら『ラフレシア』が出てくるん
だよ〜(≧ω≦) K2さん楽しい作品、ほんとうにありがとうございました〜m(_ _)m
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