FILE1:ハツカダイコン

 

来生 「...と言う訳で、村下君に育ててもらう植物は『ハツカダイコン』に決定した」
村下 「ちょ、ちょっと待って下さい、博士。いつの間に決定したんですか?(汗)」
来生 「ん?私が厳選した素材に不満でもあるのかね?」
村下 「...いえ、あたしも一応女の子だし、お花とか育ててみたいんですけど...」
来生 「ふふふ、甘いな村下君。『ハツカダイコン』は君の様な初心者でも育てやすい最高の素材なのだ。しかも、収穫時期を選ばないので、こんな中途半端な時期に種蒔きが出来るという利点もあるんだぞ」
村下 「そ、そうだったんですか!分かりました、頑張ります!!」
来生 (本当は適当に選んだのだが、なんとか誤魔化せたようだな...)

 

 

8月1日
来生 「準備は出来たかね、村下君」
村下 「バッチリです、博士」
来生 「こりゃまた小さなプランターを選んできたな」
村下 「いいじゃないですか。せめて器ぐらい可愛いヤツを使わせて下さい」
来生 「よし、それじゃ鉢底土を敷いて、その上にプランター用の土を入れるんだ」
村下 「出来ました、博士。これで種を蒔いたらいいんですね。ザーッと。」
来生 (うっ、蒔きすぎだ...まあいいか)「うーむ、いいだろう」[写真1]
村下 「これで、土を被せて水をやってっと...早く芽が出ますように」
来生 (始めからこれでは、先が思いやられるな...)

 

 

8月3日
村下 「きゃーーーっ!?(驚)こんなに沢山生えちゃいました(汗)」[写真2]
来生 「これでは『カイワレダイコン』だな。密集している上に茎が伸びすぎているので、やり直した方がいいな」
村下 「う゛ーーーーっ。(困)何で種蒔きの時に言ってくれなかったんですか?」
来生 「失敗は身を以って体験しないと分からない物なのだ。ちなみに、この失敗作はサラダにでもして食べるかね?」
村下 「ええーーーっ!嫌ですよ、そんなの」
来生 「ははは、冗談だよ」

 

 

8月11日
村下 「博士!これでどうですか?」[写真3]
来生 「おお、いいぞ村下君。しかしまた規則正しく蒔いたものだな」
村下 「一粒づつ、穴をあけて蒔いたから、茎も伸びすぎてないですよ」
来生 「まあ、これなら間引きの手間がいらないから、結果的に良かったかな」
村下 「えっ?間引きって何ですか、博士」
来生 「近接しすぎている苗や、発育の悪い苗を予め引き抜いておく作業の事だ。前回はそれ以前の問題だったがな」
村下 「う゛ーっ。今回はうまくいったからいいじゃないですか」

 

 

8月18日
来生 「よしよし、順調に育っているようだな」[写真4]
村下 「へへへっ。あたしが本気になれば、これぐらい当然ですよ」
来生 「おや?この前より芽が2、3本減っているな」
村下 「なかなか大きくならない芽や伸びすぎの芽があったから、博士がこの前言ってた間引きをやったんですよ」
来生 「ふむ、村下君にしては賢明な処置だ。よくやったぞ」
村下 「んも〜、『あたしにしては』ってどういう意味ですか」
来生 「ふふふ、そう怒るな村下君。この調子で行こう」

 

 

8月25日
村下 「博士〜。これ見て下さい〜」(汗)[写真5]
来生 「これはやはりプランターが小さ過ぎたようだな」
村下 「う゛〜っ、なんだかカッコ悪いです」
来生 「見栄えは悪くても、特に問題はないぞ。それより、そろそろ『寄せ土』をしたほうがいいな」
村下 「『寄せ土』?」
来生 「株の回りに土を盛っておく作業の事だ。これから根が育ってくるからな」
村下 「なるほど、分かりました。やっておきます」

 

 

9月5日
村下 「博士!もう収穫してもいいですよね?」
来生 「うーむ。まだ早いと思うがなぁ...」
村下 「え〜?ハツカダイコンっていうくらいだから二十日で出来るんじゃないんですか?」
来生 「...仕方ないな。それじゃ2、3本だけ抜いてみたまえ」
 ...数分後
村下 「博士〜、やっぱりまだ早かったみたいです」[写真6]
来生 「うぉ!?7本も抜いてしまったのか?うーむ、やはり十分に成長してなかったようだな。まあ取ってしまった物はしょうがない。残りは来週まで待ってから収穫しよう」
村下 「分かりました〜」

 

 

9月12日
来生 「さて、ハツカダイコン編も今日で終了だ。早速収穫してみようか、村下君」
村下 「はいっ!分かりました博士」
 ...数分後
村下 「...なんだか先週とそんなに変わりませんね」[写真7]
来生 「うーむ、今回は肥料とか使わなかったし、プランターも小さかったからな」
村下 「え〜。それじゃ失敗って事ですかぁ?」
来生 「いやいやそんな事はないぞ、村下君。初心者の君にしては、上出来だ」
村下 「ありがとうございます...でも、ちょっと納得いかないので、今回の観察記録とは別で個人的に作り続けてみます」
来生 「おおっその意気だ、村下君。研究者たる者、一度や二度の失敗で挫けてはいかん。だが、次の素材でも頑張るんだぞ」
村下 「もちろんですよ!!」

村下 「せっかくだから最後に記念写真を撮って見ました」[写真8]
来生 「一番出来が悪いのを手前に持ってきて隠すとは、やるな村下君」
村下 「んも〜!バラさないで下さい博士!!」
来生 「それでは次の観察記録でまた会おう!」
村下 「お楽しみに〜!!」

 

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