FILE6:アイリス

 

来生 「さて『観察記録』も6回目に突入した訳だが...」
村下 「博士!!今回こそ、あたしに観察素材を選ばせて下さい!!」
来生 「う、うむ...いいだろう。今は春咲きの球根物の植付時期なので、何か適当に選んできたまえ」
村下 「うふふ。そう言うだろうと思って、もう買って来てあるんですよ」
来生 「...なるほど、そういう事か。で、何の球根を買って来たのかね村下君?」
村下 「じゃ〜ん!!『アイリス』です」
来生 「ほほう、切り花の定番だな。中々洒落た物を買って来たではないか」
村下 「えへへ。実は安売りしてたからこれにしたんですけどね」
来生 「...まあ、いいだろう。それでは早速始めようか」
村下 「分かりました。今回も頑張りますよ」

 

11月11日
来生 「それでは準備はいいかね、村下君?」
村下 「バッチリですよ。...って、この球根結構大きいですよね」
来生 「うむ...村下君が買って来たプランターでは3個が限界だな。確かこの辺に...」
村下 「何を探しているんですか博士?」
来生 「おお、あったあった。この鉢を使えばもう1個植えられるぞ」
村下 「わぁ〜、ありがとうございます。でも、これどうしたんですか?」
来生 「以前『アサガオ』を育てるのに使おうとしていたのだが、結局やめたので余っていたのだよ」
村下 「なるほど結果オーライってヤツですね。では早速準備しましょう。鉢底土を敷いて土を入れて...」[写真1A]
来生 「ちょっと見た感じでは小型の『タマネギ』のようでもあるな」
村下 「んも〜、変な事言わないで下さいよ博士。土を被せてこれで良し」[写真1B]
来生 「まあ、球根物だから急激な変化は少ないが、ちゃんと観察するんだぞ」
村下 「分かってますよ。まかせて下さい」

 

12月2日
来生 「さて、村下君。もうすぐ1ヶ月だが『アイリス』の様子はどうだね?」
村下 「はい、一応全部芽は出たんですけど...」[写真2]
来生 「どうした?何か不満な点でもあるのかね?」
村下 「成長がちょっと遅いような気が...」
来生 「ふむ、確かに前回の『ソバ』に比べると遅いのは無理もない。あれは短期間に実を収穫するための植物だから差があって当然だ」
村下 「そうですか...まだまだ先は長いですね」
来生 「去年の『アイフェイオン』もそうだったが気長に行かねばな」

 

12月24日
村下 「博士、博士、見て下さい」
来生 「どうしたのだね村下君。クリスマスイブだというのにバイトに出てくるとは。何も予定はないのかね?」
村下 「うっ...そ、それは...(汗)それよりも、ほら『アイリス』の芽がこんなにのびてますよ」[写真3]
来生 「うむ、なかなか順調なようだな。この分なら今回も液肥等は必要無いな」
村下 「そうですね。風の強い日も外に出してたのに大丈夫みたいですしね」
来生 「そうだな。ところで何も予定の無い寂しいイブを過ごしている村下君。夕飯でも一緒にどうかね?」
村下 「え?...は、はい、もちろん喜んで」
来生 「場所はいつものそば屋だがな」
村下 「お...おそばですか...(汗)お供します...」

 

1月13日
来生 「さて、ついに21世紀になったが『アイリス』の様子はどうだね村下君?」
村下 「そ...それが...あんまり成長してないみたいです博士」[写真4]
来生 「うーむ、これは...まあこんなものだろう」
村下 「ええっ!?いいんですか?特に左の茶色の鉢の方は全然成長してないように思えますけど...」
来生 「冬場は成長が遅いからそう思えるだけだよ」
村下 「う〜ん、そうですか...」
来生 「どうしても心配なら、次は液肥でも使ってみるかね?」
村下 「そうですね、次も進展が無ければそうします」

 

2月18日
村下 「た...大変です、博士っ!!」  
来生 「どうしたのだね村下君?騒々しいな...」
村下 「それが...『アイリス』の茶色鉢があれから全然成長しないんですけど(汗)」
[写真5A]
来生 「どれどれ...なるほど、これはいかんな。私も楽観的に見すぎていたようだ。こうなったら緊急措置を取るか」
村下 「緊急措置...って、やっぱり液肥ですか?」
来生 「うむ、今回はそれに加えてスティック状の固形肥料も使用してみるか」
村下 「なるほど、これも一緒に土の中に押し込むんですね...できました」[写真5B]
来生 「よし、これでしばらく様子をみよう...」

 

3月18日
村下 「あのぉ...一応1ヶ月様子を見てみたんですけど...」
来生 「うむ、ダメだったようだな。ますます事態は深刻になっているようだ」[写真6A]
村下 「こんなに黄色くなっちゃって...茶色の鉢の方はもうダメなんでしょうか?」[写真6B]
来生 「実は私も気になっていたのでホームセンターの園芸メモで『アイリス』について調べてみたのだが...」
村下 「ど...どうだったんですか?」
来生 「葉が地ぎわから腐って枯れるナンプ病というのがあるのだが、これは葉の先から枯れてきているので違うようだな」
村下 「結局分からないんですか...」
来生 「まあ、もう少しだけ様子を見ようじゃないか」

 

4月15日
来生 「うーむ、これは...茶色の鉢がダメなのは仕方ないにしても、プランターの中央の株まで枯れてしまうとは」[写真7A]
村下 「一ヶ月様子を見ましたけど結果は最悪になっちゃいましたね(汗)...これからどうしたらいいですか博士?」
来生 「仕方ないな、茶色の鉢とプランターの中央の株の株は残念だが放棄する事にしよう」
村下 「うっ(汗)...わ、分かりました」
...作業中
来生 「よし、出来たようだな。それでは残った2株を枯らさないように、新アイテムを導入してみようか」
村下 「ええっ、新アイテム!?何ですかそれは?」
来生 「まず1つ目はこの『レンガ』だ。これをプランターの下に敷くんだ」[写真7B]
村下 「何だかよく分からないんですけど...あれ?それは一体...」
来生 「これが2つ目のアイテム『水苔』だ。これをよく水に浸して土の上に被せるのだ」[写真7C]
村下 「あの〜これ等にはいったいどんな効果があるんですか?」
来生 「先日TVで見たのだが、ベランダのガーデニングではプランター(鉢)内の土の温度が上がりやすく、その為枯れてしまう植物が多いのだそうだ。そこで底上げをして風通しを良くしたり、水苔を敷き詰めて乾燥を防ぐ必要があるらしいのだ」
村下 「そ、そうだったんですか?全然知りませんでした(汗)」
来生 「さて、これでどれほどの効果があるのかは分からないが待ってみようか」

 

4月28日
村下 「やったぁ!やりましたよ博士!!順調に成長しはじめました」[写真8A]
来生 「おお、うまくいったようだな。『レンガ』&『水苔』の効果はなかなかの物だったな」
村下 「そうですね。今後もこの『レンガ』&『水苔』は必須アイテムになりそうですね」
来生 「うむ。...ん?これはもしや...」
村下 「えっ、何かまた問題でも?(汗)」
来生 「いや、そうではないよ村下君。右側の株の先端をよく見たまえ」
村下 「ああっ!!これはもしかして『アイリス』の蕾では?」[写真8B]
来生 「その通りだ。左の株も背は低いが蕾は出来あがりつつあるようだな」
村下 「ついにここまで来ましたね。一時はどうなる事かと...本当によかったです」

 

 

5月5日
来生 「さて、あれから一週間。『アイリス』は無事に咲いたかね、村下君?」
村下 「もちろんですよ。見て下さい、この立派な咲きっ振りを」[写真9]
来生 「うむ、ちゃんと咲いたようだな。ここまで大きな犠牲をはらっていただけに感慨深いものがあるな」
村下 「うっ...(汗)それは言わないで下さいよ、博士」
来生 「ふふふ...まあ、それはともかく今回の収穫は『レンガ』&『水苔』の有効性が判明した事だな。今後の植物栽培にも色々と応用出来そうだ」
村下 「今までの失敗も、これをやってたら回避できていたかもしれませんしね」
来生 「まあ一概にそうとも言えないがな。何はともあれ『アイリス』編もこれで終了だな」
村下 「いや〜、今回こんなに苦労するとは思いませんでした。油断は禁物ですね」
来生 「次回も頑張るんだぞ、村下君」

来生 「『アイリス』はアヤメ科の花だが、このナショナルベルベットという品種はよりアヤメに近い形状をしているな」[写真10]
村下 「へえ〜、そうなんですか」
来生 「同じ『アイリス』でもダッチアイリス等の品種は違った形状をしているのだよ」
村下 「なるほど『アイリス』にも色々あるんですね。機会があったら違う品種にも挑戦したいです」
来生 「それはさて置き、そろそろ次の観察素材を探さねばならないな」
村下 「...次は博士におまかせします(汗)」
来生 「うむ。では次回をお楽しみにな」

 

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