「二匹の蝿」
蝿が飛んでいた。
本当に鬱陶しい。
目の前をチラチラと飛んだ後、
そこの壁にとまった。
スプレーして殺してやろうと思ったら、
そこへもう一匹の蝿が、
その蝿に重なるようにとまった。
そのまま、じっと動かない二匹。
静と動の行為。
そろそろ終わるだろうかという時を待って、
僕はスプレーを離し、かわりに蝿叩きを手にした。
そして、思いっきり、真上から叩いてやった。
二匹は重なったまま、潰れて床に落ちた。
もうどちらの体かわからないほど重なり、潰れて。
絶頂のままで。
よかったよな。
おまえ達の幸福は、今、
永遠になったんだ。