NITE&DAY


 「なぜ、目を覚まさない……」
こんなにもあんたの声が聞きたいのに、あんたと話がしたいのに、あんたの……笑顔が見たいのに。
 「なぜなんだ、リノア」

 ガルバディアガーデンでのイデアとの戦いの直後から、リノアはずっと眠ったままだ。気がつけば、 もう1週間が経つ。毎朝、保健室へ続く廊下を歩いていると思う。扉を開けた瞬間、目の前で「わっ!!」とか言いながら 俺を驚かそうとするリノアの姿を。
でも、俺の想いはいつもうち砕かれる。扉を開けてもそこにリノアの姿はない。
窓際にあるベッドのそばに行って椅子に座る。
 今日もリノアは眠ったままだ…。彼女を目覚めさせる方法を探して、ガーデンの図書館や学習パネルでいろいろ調べたりもした。 カドワキ先生にもあらゆる検査をしてもらった…しかし、何一つリノアを目覚めさせる手がかりはなかった。
今も、セルフィやアーヴァイン達は、学習パネルから各地の病院の医者にメールを送りその返事を待っている。
 「いったい、俺はどうすればいい…」
保健室のベッドに横たわっているリノアを見ていると、何もしてやれない自分に無性に腹が立つ。
 それと、同時にこれまでの彼女との思い出がよみがえってくる。初めてあったSeeD就任の祝賀パーティー、リノアは 初対面の俺にダンスを踊ろうと誘ってきた。俺が断っても無理矢理に…まるで、子供が親に甘えるようにして、俺の手を引っ張って ダンスの輪の中に入っていった。
 ティンバーで再会してからも、何かしらよく俺に話しかけてきた。”なぜ、あんたはそんなに俺に関わろうとするんだ?”話しかけられる たびにそんな疑問を抱いていた。でも、今ならその理由が解るような気がする。
リノアは少しでも俺と話をしたかったんじゃなかったのか?
わずかでもいいから、俺の話す声が聞きたかったんじゃないのか?
俺がいまリノアと話がしたいように。
でも、その答えを知っている彼女は…
リノアがいなくなって、俺は彼女に対する自分の気持ちにやっと気付いた。
彼女が俺のほとんどを占めていたことに…
リノアと話をしていたとき、煩わしく感じながらも、心のどこかではそれを楽しんでいた。
リノアに触れられると戦いの疲れが少しとれるような気がした。
リノアの笑顔を見ていると魔女との戦いを忘れることができた。
…挙げればきりがない。それくらいに俺はリノアの事を…でも、今の彼女にそれを伝えることはできない。
 「俺にはもう、チャンスはないのかな……」
ベッドの傍にある窓からの微かな風に、リノアの前髪が揺れている。でも、彼女の体は少しも動かない。俺が話しかけても、手を握っても…。 こんなに毎日あんたの事を思っているのに、こんなに毎日あんたのそばにいるのに…。
 いいようのない切なさと愛しさにかられ、俺はリノアの唇に自分の唇を重ねたそのとき、一瞬リノアの声が聞こえた気がした。
 「あなたはそんなに弱かったの?スコール…」
 それから、3日後。俺はリノアを連れてFHからエスタに向かった。みんなには黙って来てしまったが後悔はしていない。むしろ、その方が良かったように思う。
 「リノアは俺が助けてみせる…」
 俺は背負っているリノアの顔をみながら思った。リノアが目覚めたら一つぐらいはわがままをきいてやろう…。エスタまでは、まだだいぶありそうだ。 ”でも、リノアが一緒だ。”そう自分にいいきかせると俺はリノアを背負ったまま、古ぼけた線路を再び東に向かって歩き出した。


END


 ども、作者のKallです。我が駄文作品第一号です。何となくディスク3の頭のあたりの事を書いてみたんだけど…かなり駄文っすね。 特に途中のリノア連発…文才ねぇなと思われた方多々いらっしゃるかも(爆)。ところで、ゲーム中のネタで書いたのはいいけど、実際にやったのは もう半年以上前だから元ネタとちがってたらm(_ _)mってことで。