冬の微熱


 「くっ…今日もか…」
朝、ベッドから起きあがろうとすると妙に体がだるい。昨日からこんな調子だ。熱があるのか頭もぼーっとしている。 一応、昨日寝る前に薬を飲んだがあまり効いてないようだ。
 「スコール、もう起きてる?」
部屋のドアを開けてキスティスが入ってくる。
 「ああ…」
 「そろそろ、出発するわよ。準備はできてる?」
出発…そうか、そういえば今日も任務だ。確かエスタ周辺のモンスター退治…。
 「悪い、まだだ…」
 「あら、めずらしいわね。あなたが予定時刻に準備してないなんて。まあ、いいわ。ラグナロクで待ってるから早く準備しなさい」
それだけ言うと、キスティスはさっさと部屋をでていった。
 「しかたない、今日はこのまま任務に行くしかないか…」
立ち上がろうとして、少し足下がふらついた。しかし、なんとかなるだろう。着替えを済ませてガンブレードを手に取ると、 キスティス達の待つラグナロクに向かった。

 「あぶないっ、スコール」
ふっと我に返ると、目の前のモンスターにアーヴァインが波動弾を打ち込んだところだった。
 「ちょっと、どうしたのスコール?さっきから変よ?今朝も私が部屋に行ったときぼーっとしてたけど…」
キスティスが俺の所に駆け寄ってくる。
 「だいじょうぶだ・・すまない。ちょっと考え事をしてたんだ」
苦し紛れの嘘を付く。まずい、どうやらかなり熱があるらしい。知らない間に意識が薄れていたようだ。
 「はは〜ん、わかったぞ。明日のクリスマスイヴ、どうせリノアとのデートコースでも考えてたんじゃないの?」
 「もう、スコールと自分を一緒にしてどうするの。それより、モンスターはほぼ殲滅できたようね」
 「ああ、これくらいでいいだろう。報告に帰ろう…」
そう言って、ラグナロクの方を向いた瞬間、足下が急に頼りなく感じて、俺はその場にしゃがみ込んでしまった。
 「おい、スコール大丈夫かい?」
 「ああ…大丈夫だ。ちょっと眩暈が…うっ…」
そう言って立ち上がろうとした瞬間、ついに俺はその場に倒れ込んでしまった。
 「キスティ、大変だよスコールが…」
 「えっ…スコールがどうかしたの?!すごい熱、アーヴァイン早くガーデンに連絡して」
 「わ、わかった!」
 「それと、ラグナロクから救急セットもってきて」
 「オッケー」
薄れ行く意識の中、アーヴァインとキスティスの声だけがわずかに聞こえていた。

 再び意識が戻ったとき、俺は自分の部屋のベッドの上にいた。すでに時間は夜らしい。部屋の中は真っ暗だ。 ゆっくりベッドから起きあがる。左腕に軽い痛みを感じた。机の上のスタンドをつけて見てみると注射の後がある。 どうやら意識を失っている間にガーデンに運ばれて、おおかたカドワキ先生によって薬でも打たれたのだろう。しかし、 そのおかげか、まだ少し平行感覚がおかしいが、体は今朝よりはずいぶん楽だ。俺はスタンドを消すと、もう一度ベッドで 横になって布団に潜り込むと、目を閉じて眠りについた。

 どれくらい眠っていただろう…寒さと人の気配で目が覚めた。そっと目を開けて部屋の様子をうかがう。入り口のドアの あたりに人影が見えた。それはゆっくりこっちに向かって歩いてくる。暗闇に目が慣れてくるにつれその人影の顔の輪郭がはっきり してくる。
 「やっぱり、リノアか…」
起きてることが気づかれないように、心の中でつぶやく。気分的にも肉体的にも、相手にできる状態じゃないと思った俺は そのまま目を閉じて寝たふりをした。

 「まだ、寝てる…よね」
スコールの寝顔をのぞき込む。よく眠ってる。熱は…うん、だいぶ下がってるみたい。もう、無理するからこんな事になるんだよ… って寝てる時に言って意味ないか。それにしてもちょっと寒いな〜、この部屋。確かスコール、エアコンのリモコンはいつも机の上に 置いてたっけ。
 「あれ〜どこだろう?見つかんないな〜」
手探りで机の上を探すけどみつからない。電気つけて探せばすぐ見つかるだろうけどスコールが起きちゃうといけないし…
 「むー…もういいや、めんどくさい」
エアコンを諦めてベッドのそばに戻ろうとしたとき、窓の外で雪が降っているのが見えた。
 「あ〜っ、寒いと思ったら、雪が降ってる」
急いで窓際に駆け寄る。まだ降り始めたばかりみたいだったけど、見ているうちにすこしずつ木や地面が白く染まって行く。 私は寒いのも忘れてその様子をじっと見つめていた。

 雪?どおりで寒いはずだ。珍しいなバラムで雪が降るなんて…好奇心にかられた俺はそっと目を開けて窓の方を見る。 確かに、窓のそとには雪がちらついている。そして、その様子を瞬きもせずにじっと見つめるリノアの表情や、暗闇の中にある その白い肌はまるで雪のオブジェのようだった。そして、寒さで白くなったリノアの吐息が雪に舞う妖精のロンドのように儚くゆらめく。 と、リノアが窓を開けて外に手のひらを差し出した。しばらくそのままの状態でじっとりしているリノア。何をしてるんだ?
 「くぅ〜っ、冷た〜い。でも、もう少しで……」
差し出した手のひらにはいくつもの雪が舞い落ちては溶けていく。が、しばらくするとわずかではあるが、溶けないで手のひらに雪が積もり始めた。
 「こんなもんでいいかな?」
リノアがベッドに近づいてくる。急いで目を閉じて寝ているふりをする。
 「見て、スコール。雪だよ〜。これだと明日はホワイトクリスマスだね」
リノアに気付かれないように薄目を開けてみると、わずかに溶けずに残った雪を俺の方に向けている。その手は寒さで震えていた。
 「それと、これは私からの一日早いクリスマスプレゼント」
そう言って俺の頬にキスをしたリノアはそっと部屋を後にしようとした。このまま帰していいわけ…ないよな。そして、俺は…

 「ありがとう…リノア」
 「?!ごめん、起こしちゃった?」
 「いや…ずっと起きてた」
 「もう、スコールが倒れたって聞いて心配したんだからね」
 「悪かったな。でも、もう大丈夫だ。それより、寒くないのかリノア…」
 「う・・うん、大丈夫だよ」
そう言いながらもリノアの体は寒さで震えていた。
 「リノア、ちょっと…」
俺が手招きをするとリノアはどうしたの?という表情で近づいてきた。
 「ん?なに?スコール…ってちょ、ちょっと…きゃっ」
俺はリノアを抱き寄せて布団の中に入れてやる。
 「い、いきなりなにするのよっ!!」
 「いや…寒そうだと思って。イヤ…か?」
 「もう、違うよ。あんまりいきなりで驚いただけ…。ありがと、暖かいよ…スコール」
潤んだ瞳で俺を見つめるリノア。俺達はしばらく何も伝え会わず、お互いの瞳だけを見ていた。
 その夜は冬だけどとても暖かい夜だった。


END


どうもKallです。 うわ〜、やばいめちゃくちゃ駄文だぁ〜。書いてる途中に何回ボツにしようと思ったことか(核爆)…。 なんとか書き上げたのはいいけどいつもよりちょっと短めな文章になってるし(爆)。ほんと俺って文才ないなぁ…。 もっといろんな人のサイトの小説読んで勉強しなくてわ。ところで、今回はスコール君に風邪になって 寝込んだところにリノアがおみまい(?)に来るっていうストーリーですが…うらやましい(超絶核爆死)!! あ〜あ、風邪引いたときとかにお見舞いに来てご飯作ってくれたり掃除したりしてくれるような優しい人 (もちろん女性で)いないかな(あつかましいぞ>俺)? PS.ストーリー全体の元ネタCDはなしです。でも、タイトルは思いつかなかったからとあるCDのタイトル をちょっと変えて使ってます。ヒントはテレ東系のアニメ…げふげふ…。