夏をぶっとばせ


 暑い…額にも、ハンコを握る手も、じっとりと汗で湿っている。いやいや、今は夏だ。 多少の暑さぐらいどうってことは…………
 「……あ〜、それでも、もうダメだっ!!」
俺は握っていたハンコを机の上に投げ捨てると部屋を飛び出した。向かった先は、同じ階にあるエスタ財務部。
 「お〜い、いるかっ?」
とりあえず中に居るかどうか声はかけたが、相手の返辞を確かめる前にドアを開けて、俺は部屋の中に飛び込んでいた。
 「な、なな、なんですか?ラグナ大統領。私の部屋に入ってくるときはノックをお願いしますと前から言っているでしょう!」
席に座ってどこかに電話をかけていたその男、彼こそエスタ財務官僚の幹部の一人であるエスタ国家予算委員会の委員長だ。 そして俺が彼、いやこの男に合いに来たのには理由がある。なにしろ、この男こそがこの暑さの元凶なのだ。
 「あ〜、もう、それは悪かったよ。でもなぁ、それよりこの暑さだ。もう耐えられないっての。頼むからクーラー入れされてくれよ〜」
 「…また、その件ですか…」
机の上に身を乗り出してまで行った俺の訴えに、予算委員長は呆れ顔で電話を切った。 そのまま黙って立ち上がると彼の座っていた後ろのガラス張りのドアの戸棚からファイルを取りだし、 さらにその中から書類を数枚取り出すと俺の目の前に突きつけた。
 「暑い…と言われましてもね…先月の定例議会でも追求されたじゃないですか。毎年夏場、特に7月後半から〜9月前半までの 冷房代が大統領官邸に割り当てられた予算の4分の1以上を占めて居る事実、これを”予算の無駄使いだ”って言われないわけないでしょう!」
 「う…そ、それはわかってるけどさ、個人の冷蔵庫は使用禁止。クーラーの使用は日中だけってのは無いだろ〜。ほら、見て見ろよ、夜つってもまだ 気温は30℃突破してるんだぞ〜。な、だから、そこをなんとか、神様、仏様、予算委員長様!」
俺は自分の部屋から持って来たデジタルの温度計をヤツの目の前に突きつけた。  「ダメなモノはダメです。まったく、大統領がそんな風だからあちこちの部署からも同じ様な苦情が相次ぐんですよ…」
呆れ顔…をすでに通り越して予算委員長の表情には軽い怒り、さらに俺に向けられた視線には軽蔑さえ含まれているような…
 「…ああ、丁度良い機会だからこうしましょう。今年度は各部署に均等に割り当てた冷暖房の予算ですが、来年度からは 予算委員会への貢献度に応じて割り当てる。もちろん、貢献度が低ければ…最悪の場合、冷暖房費はゼロ!!」
 「な、なにぃ!?貢献度だと…」
ち、畜生〜、俺が普段から予算委員会に文句ばっかり言ってるのを良いことに、ていのいい厄介払いのつもりだなっ!
 「そうです。ま、私も鬼じゃないですからね。これまでのことは水に流してフェアに行こうじゃないですか。ただし、 今後これ以上予算のことで苦情を、例えば”毎日暑いからクーラー入れされてくれ”みたいなモノを持ち込まれるようでしたら…わかってますね?」
 「あ、そ、そう…わるいねぇ、これまでのことチャラにしてもらっちゃって…」
 ふ、ふざけるなよぉ…このぉ…。俺は必死で作り笑顔をしているつもりだが…たぶん今、鏡を見たら相当引きつってるな、こりゃ。
 「じゃ、じゃあ、俺は仕事残ってるから帰るわ。話も付いたことだし…忙しいところ時間取らせちゃって…」
 「いえいえ、こちらこそ。また何かありましたらどうぞ”お気軽に”立ち寄って下さいね、ラグナ大統領」
 くっそぉ〜、相変わらず最後の最後までいやみったらしいヤツだぜ。そう思って、ドアを開けて部屋を後にしようとした俺の背後から、 さらにヤツのイヤミが聞こえてきた。
 「そうそう、この暑さまだ当分続くらしいですね〜。これじゃ、冬になっても雪どころか北風も吹かないんじゃないですか?」


 「あの野郎ォォォ!!くっそ〜。ぜって〜、いつか左遷してやる〜!」
 「………ラグナおじちゃん。ゴハンのときぐらい、おとなしくしてくれないかなぁ?」
 「さあなぁ…今回はいつもに増して非道いが…どうしたもんだか…」
 「………」(注:ウォードです・笑)
 「ウォードくんも呆れて返す言葉もないらしい…」
 翌朝、昨日の怒りが収まらない俺は、朝食の食卓で箸と茶碗を握ったまま熱弁(愚痴?)を振るっていた。 そんな俺をエルもキロスくんもウォードくんも昨日の予算委員長と同じ様な冷めた目で見る。
 「いいか〜、君たち。ハッキリ言って我々、いや大統領官邸職員のほぼ全員は悪くないんだぞ。全ての諸悪の根元は予算委員長、 あついなんだゾ!!あ〜まったくも〜ぉ〜〜〜、うき〜〜〜〜〜(壊)!もがっ……」
 更にヒートアップしてしゃべり続ける俺に対してついに普段めったに怒らないエルがついにキレた。 普段滅多に見せないむくれ顔で”うるさいから黙りなさい”と言わんばかりの勢いで俺の口に朝ご飯のおかずの卵焼きを押し込んできたのだ。
 「う…」
予想だにしていなかったエルの行動にあっけにとられた俺は、ふっと、我に返った。 俺、何を朝っぱらから無意味に怒っていたんだろう?
 「どう?おいしい?」
神妙な顔をしているとエルがのぞき込むようにして上目遣いで俺に聞いてきた…。その表情はすでにいつもの笑顔。 うん、やはりエルには笑顔が似合う。
 「………うん」
改めてくわえていた卵焼きを噛みしめると、その甘みが口一杯に広がった。
 「で、どうするの?ラグナおじちゃん」
 「ふが…んぐ…どうするって?」
 「ラグナおじちゃんがそれだけ言うんだもん…その予算委員長を見返す良いアイディアあるんでしょ? なんかこう、どか〜んと大きな秘策とか…」
俺はエルの質問に対して、目の前に差し出した二切れ目の卵焼きをほおばりながら、自信一杯に答えた。
 「ないっ!!!」
 「…あっそ。じゃあ、さっさと食べて仕事行きましょう」
俺の答えにエルは三切れ目の卵焼きを俺ではなく自分の口の中に運ぶと、そそくさと食器の後かたづけを始めた。 その後を追うようにキロスくんとウォードくんも食器を持ってキッチンに向かっていく。を、おいおい、まってくれよぉ〜…
 「…って、ちょっと待ってくれたまえ諸君っ!!というわけなので、対策については今から緊急会議を取り行っ…ぐ、が、み、水ぅ〜…」
口一杯にご飯とおかずを頬張ってみそ汁で流し込もうとしたら、そのみそ汁の具が喉に詰まりかけた。うう、俺ってどうしてこう昨日からツイてねぇの…。

 「…え〜っと、ま、とにかく、ヤツにこれ以上大きな顔をさせないためには、俺達がこれ以上この暑さで苦情を出さないことが条件になると思うんだが…」
 その日の午後、俺を可哀想に思ったのか、それとも俺様の大人の魅力(みりき)の成せる技か(俺的にはたぶん後者だと思うんだけどな〜・笑)大統領執務室にキロスくん、ウォードくん、そしてエルの3人が集まってくれた。
 「…とりあえず、みんなの意見が聞きたい」
俺の問いかけに最初に答えてくれたのはエルだった。
 「ってことは、とにかくこの暑さが和らいで涼しくなればいいわけでしょ?スコールとバラムガーデンに頼んで冷気系と水系の 魔法とGFをありったけ貸してもらって、みんなで一斉に使って気温を下げるのは?」
 「う〜ん、確かに良いアイディアだけどGFと魔法をそれだけ一気に使えるメンツを集めるのがちょっと厳しいかもなぁ… それに、ガーデンに掛け合ったのが知られたら…」
 「…来月も予算委員会から突き上げに会うな。確実に」
キロスくんが冷静に言い放つ。う〜ん、一応実現可能っぽいアイディアだったけど…こりゃボツかなぁ? よし、次はとりあえず俺のアイディアを出そう。
 「やっぱりどうせやるならビックに行こうぜ!オダイン博士に頼んでバラムガーデンみたいにエスタを街ごと 移動出来るようにするってのはどうだ?!」
 「……それ、街を移動できるようにする費用はどこから出てくるわけ?」
今度はエルから冷静なツッコミが入った。
 「あ゛…」
…そうだった、金がねぇんだよな、まず第一に。それによく考えてみれば…エスタを移動できるようにするには費用に加えて 時間だってどれぐらいかかるのやら…これもボツだな。
 「発想を変えてこんなのはどうだ?財務部と予算委員会がある大統領官邸の4階に薄めたモルボルの臭い息を混入させて、 連中を軽い混乱状態に陥れる。そして、全予算の決済について無条件でハンコを押させるというのは?!」
ぬっ、ふ、普段のキロスくんからは想像も付かないなかなか過激で大胆な発言…
 「でも、費用とかもあんまり掛かりそうにないし…いけそうじゃないか〜?」
 「そうね〜、モルボルの臭い息にそんな便利な使い方ができるなんて知らなかったわ〜」
 「…いや、俺も知らん。ただの思いつきだが…」
………はい、これもボツ決定(泣)

 最後のアイディアがボツになってから数分、誰も口を開かない重い沈黙が続いていた。
 「…ラグナくん、ウォードくんが何かいいたげだぞ」
 「ん?どした?」
沈黙を破ったのは以外にも普段一番寡黙な(まぁ、普段から喋らないしキロスくんが代弁してるんだけどね)ウォードくんだった。
 「『こうなったら、イチかバチかアレに頼ってみてはどうだ?』とウォードくんは言ってるぞ」
 「アレ?」
 「『魔女記念館の資料部に保管されているアデルが執筆した魔法書、氷の女王(クイーンオブアイス)だ』とウォードくんは言っているぞ」
 「な、あれか…」
そ、そうくるか〜ウォードくん…しかし、ここまで煮詰まってくると、これ以上の名案はでてきそうにもねぇし……ベストが無ければベターを選ぶ… よし、やるっきゃねぇな!!

 日没後、俺達はこっそり大統領官邸を抜け出し魔女記念館に来た。もちろん目的は…
 「んじゃ、エルとウォードくんは屋上でスタンバイしておいてくれ。俺とキロスくんで女王様を救出してくるからよ」
 「わかった。とりあえず、身内だから失敗して捕まったりしても大丈夫だとは思うけど…怪我だけはしないでね」
 まぁ、身内つってもこれから俺達がやろうとしてることはれっきとした犯罪なんだけど…この際細かいことは置いておくか。 エルとウォードくんが魔女記念館の非常階段口に消えていったのを見送って、俺とキロスくんも行動開始だ。
 「それでは…」
オダイン博士の研究室から拝借してきたガラスカッターを懐から取り出すと、窓の鍵の周辺だけを慎重にカットする。
 「しっかし、ウォードくんも氷の女王と言い出すとはなぁ…確かあれって…」
 「ああ、かつてこのエスタを支配していた最凶最悪の魔女アデルが書いた魔法書の一つ。そこにはタイトルどおり氷や水に 関するありとあらゆる魔法が記述されているらしいな」
 「そうそう。でもってよ…っと、開いたぜ。行こう」
半円形に切り取った場所から手を入れて鍵を開けると俺とキロスくんは物音を立てないように中に忍び込んだ。 魔女記念館の構造は地下一階と地上一階はかつて使われていたアデルセメタリーの開発と制御エリア、地上二階は一般に 公開されている魔女の歴史についての資料館、そしてアデル関係の品物や資料が保管されているのは地上三階。 ということで、まずは通路沿いにアデル関係の品物が保管されている三階への階段を探す。
 「でもって、そのなかに術者一人が唱えるだけで、広範囲に雪を降らせる魔法ってのが有るんだろ?キロスくん」
 「『雪降り』のことだな。私もウォードくんから聞かせてもらった限りでの話しかしらないが…なんでも魔法書が書かれた 直後にアデルの側近だった一人が誤って『雪降り』を発動させてしまったらしいが…」
と、急にキロスくんが喋るのを止めて指さす。ん?あ、警備員か…懐中電灯の明かりと足音が少しずつ近づいてくる。 俺とキロスくんは近くにあった部屋のドアを開けるとその中に入って物陰に隠れた。しばらく息を潜めていると、足音は俺達のいる部屋の前で立ち止まった。次の瞬間、懐中電灯の明かりが部屋の中を照らす。ちっ、見つかったのか?
 「…大丈夫だラグナくん。もう行ったみたいだぞ」
キロスくんの合図でそっと物陰からドアのほうの様子をうかがう。どうやら、ドアのガラス越しに部屋の中を覗いただけで去っていったらしい。ふう、危ねぇ危ねぇ…。
 「…で、さっきの話の続きだが、以前に『雪降り』を発動したときは約一ヶ月、エスタ全体にわたって交通機関はマヒ状態、 人々は慣れない雪かきで大騒動、魔法書を書いたアデル自信でさえ雪の処分に手をこまねいたとかどうとか…まぁ、 そうとう大変だったたしいな」
 「へぇ〜たった一度でねぇ…」
その後も何度か見回りの警備員をやり過ごし、氷の女王の与太話をしながら俺とキロスくんはついに三階の書庫エリアにたどり着いた。
 「う〜む、結構広いな…」
書庫エリアの広さは以前リノアちゃんに案内してもらったことがあるバラムガーデンの図書室ぐらいの広さがあった。おいおい、こんななからたった一冊の本を探すなんて…夜が明けちまうぜ…。
 「ま、広いがここにある大半はアデルの蔵書だ。やつが書いた魔法書が置いてあるの一番は南東の本棚だとウォードくんは言っていたが…」
それを早く言ってくれよ、キロスくん…。俺は言われたままに一番南東にあった本棚の背表紙を一冊ずつ目で追っていった。
 「…っと、氷の女王、氷の…あ、あったこれだ!!」
古ぼけた茶色のハードカバーのそれは本棚の丁度真ん中ぐらいにあった。そして、もちろん背表紙には”Queen of Ice”の文字が。
 「ったく、手間かけさせてくれる…」
俺がその本に手をかけた瞬間だった。
 「そこまでです。ラグナ大統領!」
いきなり部屋中の電気がついたかと思うと、部屋の入り口から大勢のスーツ姿の男達が飛び込んできた。 そして、一番最後悠々とアイツが現れた。
 「よ、予算委員長っ!」
 「こんなことなんじゃないかと思いましてね…昨日からあなたには監視を付けておいたんですよ」
へぇ〜そりゃまたごくろうなことで…って、そんなことしてるほうが予算の無駄遣いダロ…
 「とにかく、おとなしくそれを返していただけますかな?」
勝利を確信したヤツはゆっくりと俺達のほうに歩いて近づいてくる。
 「あ〜あ、まったく俺様達もなめられたもんだよなぁ、キロスくん」
 「なに?」
 「いくら現役を退いたからって俺達は元(自称)エリート兵士なんだぜ。予算委員と会計監査部…あとは査察部の姿も見えるけど…そんな連中で捕まえられると思ってるのかな〜?」
 「なんだと?!」
いまだっ!!一番近くにあった本棚に当て身をくらわせる。と、その本棚はいとも簡単に倒れ、別の本棚にぶつかる。 すると、今度はぶつかった本棚が…これぞラグナ忍法(?)本棚ドミノ倒しの術…なんて言ってみたり。
 「なっ、に、逃げろ。早く部屋から出るんだ〜!」
 「伊達に長年放浪フリーライターしてね〜ってのっ!!」
バサバサと本をまき散らしながら倒れてくる本棚から逃げようと、必死に出口に向かう予算委員の連中の姿をときおり 振り返りながら俺とキロスくんは出口とは反対にある非常口に向かう。
 「に、逃がすな。なんとしても捕まえるんだっ!」
 「へっ、今更遅いって〜の」
非常口のドアは普段は閉まっているがそこは手はず通り、先に忍び込んだエルとウォードくんが非常口のドアの鍵をあけておいてくれていた。
 「んじゃ〜ね〜」
俺とキロスくんは非常口をくぐると外側からドアに鍵をかけ、後は一目散に階段を屋上へ駆け上がった。

 「おっそ〜い!」
 屋上ではエルとウォードくんが俺の姿を見るなりまってましたとばかりに駆け寄ってきた。
 「悪ぃ悪ぃ、少々途中で邪魔者が現れてよ…でも、ほらちゃんと女王様はご招待したゼ」
 そういって俺は自慢げに魔法書『氷の女王』をエルに手渡した。
 「ここからあとはエルに任せよう。私たちは魔法に関しては素人より多少知識がある程度だからな…」
そうだな…俺はキロスくんの言葉に黙って頷くと魔法書を開いて『雪降り』の魔法を探すエルから一歩後ろに下がった。 それにしても、エルのやつよくあんなのが読めるよな。さっきちょっと中を見たけど…ありゃ、何語だ?俺にはただの 子供の落書きのようにしか見えなかったんだが…
 「…あ、あったこれだわ。じゃあ、行くよ…え〜っと、『幾星霜の夜を越えて、聴け聖なる氷の女王よ。』
満天の星空の下、エルが唱える『雪降り』の詠唱だけが静かに響く。
 「『深遠なる氷の空よりふるえ輝く純白の結晶を、我らが大地に降らせ賜え!!』………」
 「ん?終わったのか?おいおい、何も起きない…」
エルのほうに近づこうと一歩踏み出した瞬間だった。俺の目の前、いや正確にはエルが手に持っている 『氷の女王』からいきなり白い光の柱が立ち昇った。
 「うわっと、なんだなんだぁ?!」
光の先を目で追うようにして空を見上げると、さっきまで満天の星空だった空の半分ほどを隠すような灰色の雲が現れていた。 そして、雲間の月明かりに煌めきながら一つ、また一つと白い礫が舞い降り始めた。
 「雪だ…」
 俺の掌に舞い落ちたそれは体温で儚く溶けた…しかし、後から後からそれはまた舞い降りてくる。
 「見て、エスタの街のほう、もうあんなに積もってる…」
エルに言われて視線を街の方へ移す。大統領官邸やエアポートのような周りよりも一段高い建物はその上部の大半がすでに白い雪化粧に覆われていた。
 「こりゃ、今年の月見は季節はずれの雪見酒といこうじゃないか。なぁ、キロスくん。ウォードくん」
 「ふっ、それはまたなかなか趣が合っていいな」
 「………」(注:しつこいようですが、ウォードです・笑)
 「ウォードくんも『大賛成だ。』と言いたいようだぞ」
そしてなにより、これでこの厳しい残暑とも完全おさらば。クーラーだって付けなくても快適な生活が…
 「???…ラグナおじちゃん、あれ、なんかヘンじゃな…」
 「ん?」
エルに促されるままに再びエスタの街を見た俺達の目に飛び込んできたもの、それは…
 『ズズズズ〜ン』
 「だ、大統領官邸が…」
地響きと共に周囲の建物を巻き込んで倒壊する大統領官邸の姿だった。その時俺は重要なことに気付いた。 本来冬にエスタに雪は降るけれど、積もるほど降ることは俺がエルを追ってエスタに来てから知る限りでは一度も無かった。 まして、アデルが居なくなってから建てられた大統領官邸の設計にそんな考慮は…その瞬間俺は、来月に控えている 定例議会の様子が目に浮かんだ…
 『来年の大統領官邸の冷暖房費、いや予算そのものの大幅減額案は全会一致を持って可決とします。』


 「ああ〜っ、なんでこ〜なるんだよ〜〜〜〜〜!!」


END


(あとがき)今回はパス^^;…とも行かないので短く一言。え〜っと、実は結構難産&しばらく新作書いてなかったので 軽いリハビリ作品みたいになってしまいました(爆)内容的にはK2さんのキリ番リクエストで『ラグナさんを使った コメディ作品を』というリクエストで書かせて頂きましたが…どうですか〜?^^;なんかコメディなのにオチがちょっと 先読みできたかも(をい)という展開になったかもしれませんが……よろしければ掲示板のほうへの感想お待ちしておりますm(_ _)m